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採用マーケティングの今後

~今、何を備えるべきか~

前回(2009年4月掲載 第3回)のコラムでも述べたとおり、マクロ人口動態における総人口及び労働人口減が加速している。
総務省統計によると、2011年の人口は前年より約26万人減少し1億2779万9000人で、減少幅は過去最大。これまでは多くとも数万人/年の減少幅で、総人口に対して0.02%程度の減少幅であったが、一気に10倍近くの0.2~0.3%になっている。震災による外国人の日本国外への避難、退去も影響しているとのことではあるが、このままだと理論上の危機が現実に坂を転げ落ちるように、加速するのが明らかである。
マクロなことだから一個人や一企業では抗えない事象、と捉えられがちであるが、そうではない。

現在の日本は、リーマン・ショック後数年の不況期を自動車産業を筆頭に抜け出しつつあり、人材採用も難易度が上がっている。若いフルタイムのフリーター等、以前の求める人物像をゼロベースから再検討し、「現場での本当に必要な人物像やシフト、スキル」などを「棚卸し」し、比較的採用難易度が低い
主婦を始めとした女性55歳以上外国人を自社の事業活動で活躍してもらうことを真剣に進める時が来ている。
企業側にとっても、自社の採用課題解決に直結する事柄である。
つまり採用難易度という観点でも、これは、採用費はもちろん、複数の応募者から人柄含め自社に適した人物を選べるというメリットになる。

具体的には以下のことである。

【1】採用費への影響
 ・募集費
 ・在職率、リテンション
 ・教育コスト
    初期教育コストは少し高くなるが、在職期間が伸びる分新規スタッフ教育工数及びコストが減る。

                       図1

(※図1)雇用機会均等法上、性別の求人倍率の公式データは無いが、女性は圧倒的に応募見込み者が多い。時間とシフトの融通次第である。

【2】集客、リピートへの影響
ファーストフード、ファミレス、コンビニ、居酒屋を始めとした外食、各種小売、流通 若い人の絶対数が減り、消費するお客さんの高齢化が進んでいる。販売したりサービス提供をする側に、お客さんと同属性が増える事は かなりプラスである。

目に見えて顕在化していないものの、在職期間と集客、リピートへの影響は少なく無い。そもそも在職期間が人的生産性にどれだけの影響があるか紐解いてみる。
以下をケーススタディとして、若いスタッフの場合と年配スタッフの場合を比較検証してみたい。

 24H365日営業 コンビニエンスストアチェーン
 店舗数:1000店舗
 常時スタッフ数:平均3名


  ---- A社のケース ----
  常時フリーター・学生はじめ若い人を中心に採用。
  平均在職期間 10ヶ月
  平均在籍数 20名

  ---- B社のケース ----
  全体の70%を年配者、主婦、外国人などを採用。
  平均在職期間 18ヶ月
  平均在籍数 40名

両社の採用本部担当者の目線となって全国店舗を俯瞰視してみよう。(※図2)
A社の場合、全国1000店舗でみると常時採用数が2万人、B社では4万人。B社はA社の2倍である。
しかし通常、若年層は離職率が高く(仮に10%とした)、一人当たりの採用費も高くつく(例:30,000円/人)。
一方、年配者・主婦・外国人らは比較的流動が少なく、勤続日数が長い。また、あまり採用費を掛けなくても採用することができる。
これらの条件を基に、両社の採用費を具体的に算出・比較すると、年間にして実に5億円以上もの差がでることが分かる。

                       図2


ちなみに離職率は、「ある時点で働いていた人達のうち、その後退職した人の割合」で算出されるので、例えばA社(離職率10%)の在籍者数が100人の場合、その10ヶ月後には0人となることを意味する。(※図3)

                       図3


費用面以外にも、多数の年配者・主婦・外国人でスタッフを構成することのメリットは多数存在する。

  • * 退職する数が少ない≒欠員補充する採用数が少ないので、募集頻度が抑えられ、時間と手間を
     他業務に充てる
    ことができる(効率化)。
    * スタッフの勤続日数が長いので、商品発注や地域イベント、大口注文などの地域社会とのコミュニケー
     ション
    が期待できる。
    * 在籍スタッフ数が多いので、シフトに欠員が出た場合に声をかけられるスタッフが充実している。
    * 年齢が高いぶん友人・知人が多く、多様でもあるので、集客 ・リピート客の呼び込みに貢献できる
     

  • その昔、中国の有能な士 郭隗は、燕の昭王に『隗より始めよ』と言ったという。
    「天下の人材を集めたいなら、まず私(隗)を抜擢して下さい。そうすれば世間の賢者達は、自分なら更に優遇されるはずだと考え、次々に集まってきます」。
    人材採用のマクロ環境変化に対応することは売上げの増加にも繋がります。市場の動向を見逃さずに、一歩踏み出してみましょう。