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採用マーケティングの“ロングテール”

ニッパチ(2:8)の法則パレートの法則は、「業績上位2割の営業が全体の8割の収益を稼ぐ」や「上位2割の顧客で利益の8割を得ている」等、様々なビジネスシーンで見られる側面の一つである。マーケティングのみならず、人材採用の現場でも耳にする機会は多い。例えば、多くの求人媒体を併用使用している企業などにとって、求人媒体経由の応募数がそれに当たる。つまり、応募数順での上位2割の媒体で全体の8割の応募者を得ているということである。

一方、近年これとは逆にWebマーケティングの大きな特徴の一つでもある「ロングテール」の兆候が目立ち始めた。中途採用における人材紹介会社の利用や、自社採用HPへの流入応募者の検索キーワードなどは、ロングテール現象が顕著である。

具体的には、まず 中途採用におけるエージェント利用 から解説したい。
昨今、需給バランスが需要過多の営業職やITエンジニア職を始めとした企業にとっての採用難職種は極めて応募者が集まりづらい。その為、以前は10社前後だった取引紹介会社を100社超に増やし、可能性の追求で様々なルートから候補者紹介をうけるというケースも珍しくない。その場合の紹介会社ごとの紹介数は以下の図の通りである。

図にある「ミドル~テール」に並ぶ 月に数名から1名の紹介数の紹介会社(紹介数 中位から下位)は、以前であればやり取りの手間や選考進捗業務や手続きの煩雑さなども有り、取引しない(口座を開かない)ことが多かった。上位の紹介実績の多いエージェントに絞り込むことで人事や選考側の業務工数が増大するのを防ぐためだ。
しかし、上位のエージェントは採用競合とも当然取引しており、自社に紹介をしてもらえる数と質には限界がある。そこで、図の例では「ミドル~テール」で全体紹介数の80%を確保している。これはエージェントとのやり取り等をアウトソーシングすることや、進捗支援システムを導入することで、人事の工数を増大させずに中小の取引エージェントとの口座を増やすことで実現している事例である。
内定や採用数においても、この事例の歩留まりをみると上位数社のエージェント経由の応募から入社までの歩留まりが軒並み10%未満なのに対して、「ミドル~テール」のエージェントは絶対数が少ないこともあり、平均値は上位エージェントの歩留まりを上回っている。

二つ目の 自社の採用Webサイトへの流入応募者の検索キーワード についても解説したい。これは多店舗展開しているチェーンなどに見られる事例である。
自社採用HPへの応募者の増加は、スマートフォン経由の流入を中心に増加の一途をたどっている。スマートフォンに代表されるデバイスの進化や、パケット料金の使い放題プランの浸透なども追い風要因である。自社HPへの応募総数の増加に伴い、流入経路などを少し詳しく調べると、検索エンジン経由で何らかのキーワードを検索して、流入している応募者が多いのがわかる。それらの応募者が、どんなキーワード(≒ニーズ)で検索して応募しているかを記しているのが次の図である。

その会社や屋号などの固有名詞単体や、“アルバイト”“求人”等との掛け合わせも上位に存在するが、圧倒的に多いのがミドルからテールにある 2つ・3つのキーワードの掛け合わせである。
月に数件づつではあるが、屋号(≒ブランド名)×バイト×地名などが店舗の数の数倍以上にテールに続いている。この一人ひとりの検索背景としては、働きたい企業やブランドと地域を特定して検索していることが窺える。この方は求人企業にとっての指名応募者であると同時に、お客さんとして当該企業の利用経験もあり、それらを含めて何らかのロイヤリティを持って応募してきている人達である。時給や休日、シフトでの職探しが主流の求人媒体経由の応募者とは違い、ブランドとエリアを指定している層である。
応募者数の面でもこのロングテールを取り込むことが有効なのは言うまでも無いが、応募者の定着率や自社ブランドへのロイヤリティという「質」の面でも非常に有効なコアスタッフとなりうる層である。

一つ目の中途採用におけるエージェントの拡大活用とあわせて、今後の人材採用マーケティングにおいてロングテールは見逃せない潮流である。